舞台作業の安全について




1、安全作業の基本と安全管理の要点


安全と危険が隣り合わせである――舞台は大変危険な場所
芸術創造に秩序があり、このためにも安全に対する義務が存在

事故発生――冷静に処理←―教育
       ↑__現場関係者との協力体制

  安全が最優先――ハッキリした指示を大声で与える
    安全に対する啓蒙の大切さ


安全管理の要点


 @現場に適合した作業安全アニュアルの作成

 Aミーティング

 B精神的な注意事項

 C事故原因の究明と再発防止


2.安全作業の実施



【A】作業現場において


 (1)責任と義務 〜 チームワーク⇒一つの目的を持った作業

 (2)あいさつの実行 〜おはようございます 〜

 (3)作業中
    通常でない動きが多い――作業衣・作業靴は身軽なもので、
                         素足に革靴は禁止事項

 (4)舞台は暗い
      全体の様子を把握するよう指導

 (5)持ち場を離れるとき
      転倒防止・未完成の部分――安全確認した上で

 (6)危険作業
      |__特に、個別の責任者を置き、指示・連絡を行う

 (7)撤去
    互譲の精神で早期完了

 (8)ケーブル・コードの配線
     見た目も綺麗に――安全・作業の迅速化
             |_カーペット、ゴムマット養生(客席、袖)

 (9)その他――T 客席無いでの器具の設置――ロープなどで区切りを
         U 避難通路の確保
         V 舞台の袖――催事の内容に即対応できるように
         W テープの使用――ささくれを起こしやすい、跡を残さないように


【B】高所作業


 (1)無理な姿勢で作業させない

 (2)見ていても安全と思われる作業を

 (3)落下防止策をとる

 (4)ローリングタワー・脚立に乗っての作業――アンバランスな状態は厳禁


【C】落下物による事故防止


 (1)スポット・ハンガーの止めネジの確認

 (2)鋳物のハンガーは割れる恐れあり
      ネジの締め付け・介しゃく棒での調節のため、叩くのは注意を要する

 (3)スポットの吊り込みには、落下防止用のクサリ、ワイヤーを忘れない

 (4)色さし枠・バンドアなどの落下防止――バインド線で固定

 (5)レンズの破片や電球の落下防止――金網で施す


【D】その他


 (1)オケピ利用の場合――安全柵を設ける←―人が容易にくぐり抜けることができない構造

 (2)昇降設備を使用する場合は、使用前と使用後の確認を必ず責任者又は

    指導者が行い、追加したカウンターウェイトを明記し、その公演が終了すると共に
     復元しておくこと

   (イ)綱元・操作盤のオペレーターと監視者とコミュニケーションを完全に

   (ロ)ストッパーはしっかり止める

 (3)火災防止に関して

   (イ)防火設備(消化器・避難通路など)の所在を確認、周知

   (ロ)裸火使用、危険物の持ち込み――消防署への届け・承認――利用会場の許可を得る

   (ハ)美術装飾などに使用する幕類、敷物類、大道具の合板などは防炎加工が必要



【A】管理と点検
    日常、取り扱いによる外観点検や専門業者による定期点検
                                  |
                           安全、迅速な仕込みの利点となる


       



【B】持ち込み機器への対応


    ・防炎処理の有無

    ・消防署への承認申請(危険物)

    ・転倒防止、落下防止設置

【C】舞台管理の要領


 1)貸し出し前の点検

  ・打ち合わせ用紙に目を通す(打ち合わせは遅くても1週間前にすませておく)

  ・舞台の点検
    ホール使用の契約時に地照りがついているか!
     又、舞台が完全に貸せる状態にあるか確認!
      (前日の釘の抜き残し、紙くず等の掃き残しetc)

  ・操作盤の電源は舞台係が責任を持って入れること

 2)仕込みの際の立会い

  @吊り込み…吊り物のバランスには特に注意する(重量オーバーは事故の元)
        ※サスペンション・ライト等を移動したとき、特に気をつける
        ※電動式ホールはある程度の吊り物に関して余裕有


  Bベルの長さは、客入れ込み具合によっても異なるが15秒〜20秒位が適当である。2ベルは1ベルより短めに!
        ※構成によって異なるが、寄席、クラシックは1ベルのみ
        ベルを入れる場合、調光、音響等の担当者にベルを入れる盲を伝える。


  C舞台のふところ周辺、緞帳周囲、及び綱元の障害物(楽器ケース、椅子など)は取り除いておく。


  D舞監のキューを正確に聞き取る

 3)公演中の注意

  @公演中は原則として袖に居合ること
    やむ得ず、持ち場を離れる際には舞監等に所在場所連絡方法等を連絡しておく

  A休憩やカーテンコール(アンコール)時には、必ず所定の場所に居合せる

   休憩は寄席等では中入りとも云うが、大きく分けて2つの意味から取られる
   @)客そのものを休ませる
   A)舞台転換及び衣装替え

    休憩時間は10分〜15分くらいが適当だが、転換のため、
    やむを得ず長時間かかることもあるが、
    せいぜい20分どまりにしたいものである。
    本来、客本位の催物であるから、短時間で行うよう指導し、
    手が足りないようなら手伝う


 4)徹去(バラシ)

  @催物終了時には、袖幕、ホリゾント幕等の幕類は破損の防止から、
    とばしてからバラシに取りかかる

  Aバラシの順序は音響→舞台→照明が理想である

  B持ち込み機材と施設の備品を間違えて持ち帰らないように監督する

  C搬入も同様であるが、搬出の場合は公演終了の気の緩みから、
   事故が発生るす可能性があるので、ホイスト・レールやエレベーター等の
   使用時には十分注意する

  D釘の抜き残しには細かい注意を払う

  E外来大道具、小道具、照明や音響等の持ち込み機材を全て搬出し、
   掃除を終え、貸した時と同じ状態をもって完了したものとする

  F舞台係は最後まで点検する
   火元、操作盤電源のOFF、地照りを落とす